伝統食
その74.子供に与えたくない食④ 総括 食事はやはり伝統食を おやつは自然の食材に一手間かけて...
生理学博士 久間英一郎
これまで三回に渡って子供達に与えたくない食として①白砂糖、②精製塩、③化学合成添加物について書いてきました。今回はそのまとめ。
これら三つに共通することは、見ばえ、簡便さ、経済性を追求する余り健康の視点が見事に欠落している点です。すなわち、自然の食物なら本来備わっているはずのビタミン、ミネラル、食物繊維、酵素などが製造の過程で削り取られているため、ほとんどが食とは言えないクスリと化しているのです。薬には当然副作用がある訳ですから、そういった食を無垢な子供に与えると体だけでなく心まで歪んでしまうのです。ですから子供達には極力与えたくないものです。
子供に与えたくない食には、前記の三つに加えて、脂肪(牛乳、バター、マーガリン、植物油など)の問題も書きたかったのですが、昨年、一昨年の本稿その63、64、68、69、70に詳しく書きましたので今回は稿を改めませんでしたが、是非ご参照ください。
筆者が憂慮することは、子供達が好きな食物ほど前記四点セット(白砂糖、精製塩、化学合成添加物、悪い脂肪)が団体で含まれている点で、これが食品の危険性を益々高めていることです。
毒々しい色をした菓子類(クッキー、ケーキ、チョコレート、アイスクリームなど)、清涼飲料水、ハンバーガー、ポテトチップス(フライ)、インスタントラーメン、ウインナーソーセージ、かまぼこ等々はもとより、最近では食パンにもバターや精製塩に加え、トランス脂肪酸であるショートニングが使われているのが見受けられるのは驚きです。
これらが腸を汚し、血液を汚し、その結果、免疫力を低下させ、アトピー、ゼンソク、肥満ほか様々な肉体的疾患に加え精神的な疾患の原因にもなっているのです。そして全体として将来の大量の生活習慣病予備軍をつくっているのです。
大食品工場で一たび食品が加工されると、前記三点セット、四点セットが否応なく使われざるを得なくなることを私達は肝に銘じなければならないのです。
ですから子供達(大人も)の健康を守るためには、できるだけ、加工食品に頼らず、食材を買ってきて、自宅で調理すること。有難いことに日本は温暖多雨、四季に恵まれ、四方海に恵まれ、米、麦を始め、バラエティ豊かな魚介類、野菜類、海藻類、木の子が採れます。そして様々な発酵食品、さらには調味料としては、味噌、醤油、天然醸造酢、そしてこれらを総動員してダシを取り、味付けをする。これまさしく世界が認めた(文化遺産)日本の伝統食なのです。
おやつについても具体的な提案をします。イモ、豆、ナッツ、果実がおすすめです。一番簡単なものは、さつまいもを5mmぐらいに輪切りにして七輪やオーブンで焼く、筆者の一押しです。煮たピーナッツやくるみもおすすめ。ナッツ類には脳の働きをよくする不飽和脂肪酸が入っていることから『健脳食』として飯野節夫先生も推奨しています。
その他、小豆や他の豆を煮て黒砂糖他で少々の甘味をつけたり、またコラーゲンでゼリーをつくってあげるのも子供達にはとてもよいと思います。
最後に子供達の食事の際に牛乳やオレンジジュースなどのカロリーのある飲み物を与えないでいただきたいのです。なぜならカロリーのある飲み物でお腹を先にふさいでしまうと肝心の主食が入らなくなって、途中で小腹が空いて中途半端な間食につながるからです。食にメリハリをつける為にも心に留めていただきたいものです。
日本の将来を担う子供達を正しく育てるためにも、第二第三の小保方晴子さんの出現のためにも、前記四点セットはできる限り少なくして、食事は伝統食を、おやつは自然の食材に一手間かけて...をお願いしたいものです。