白砂糖
その71.子供に与えたくない食① 白砂糖 白砂糖は麻薬だ!
生理学博士 久間英一郎
今回から未来を託す『子供に与えたくない食』について書きます。
まずは『白砂糖』。白砂糖は、戦後の"食の欧米化"に伴い、その消費量は一気に激増しました。
白砂糖は、サトウキビなどの原料を圧搾して取り出した糖蜜に、様々な化学処理を加え、不純物やビタミン・ミネラルを除去し、さらに脱色・漂白して高度に 精製された物です。ですからもはや『食』の体をなさず、完全に薬(化学式ではC12H22O11)の状態なのです。薬ですから当然副作用もある訳です。
順に説明します。白砂糖が体内に入ると、ビタミンB群やカルシウムを消費してブドウ糖に分解され、体内に吸収されます。ですから、白砂糖を摂り過ぎる と、ビタミンB群が枯渇して逆に疲れやすくなったり、カルシウムが枯渇して最後には骨や歯から削ってくるしかなくなってきますので、骨や歯が弱くなってく るのです。
白砂糖の最大の問題は次の点です。前述の通り、白砂糖は高度に精製されているので吸収が極めて速く、これに対しインスリンはゆっくりしか分泌されないので、血糖が急激に上昇します。
ある程度吸収し終えた後もインスリンはすぐには低下しませんので、今後は急激に低血糖を引き起こすのです(これが低血糖症です)。
低血糖になると、頭がボンヤリして気力もなくなる為、また糖が欲しくなります。甘い物を摂ると、一時的にまた血糖が上昇し、しばらくしてまた低血糖を招くことになります。
これが繰り返されると、低血糖は、攻撃性の強いアドレナリンの分泌を促すので、これが様々な精神的な"キレ"を誘発し、イライラや暴力行為や異常行動の原因になることが指摘されているのです。
昨今、社会を騒がせている学校内暴力や家庭内暴力、さらには、イジメ、非行、不登校などは、その原因を追及すると、白砂糖の摂り過ぎによる高血糖と低血糖の狭間で起きていることなのです。
「食生活と心の健康」を研究している岩手大学名誉教授、大澤博先生は、子供の異常行動を医学的には精神科の問題として、教育的には学校教育の問題として扱っているが、真の原因は食、特に白砂糖の摂り過ぎに問題ありと警鐘を鳴らしています。
ですから、白砂糖のように吸収が素速いことが決していいことではなく、むしろ黒砂糖や穀物、イモ・豆などの自然物のように人の生理のリズムに合わせて ゆっくり吸収されることが重要なのです。 そして、この白砂糖は摂れば摂るほど習慣的に甘い物を欲しくなる『習慣性』、また、段々強烈な甘さが無いと満足しないようになる『増加欲求性』、さらに は、この白砂糖の害は知らない間にゆっくり蝕まれていく『潜在性』、これら白砂糖の性質は、まさしく麻薬中毒そのものなのです。無垢の子供を麻薬中毒患者 にすることは親の恥だと思いたいものです。アメリカでは白砂糖はsugar toxin(砂糖毒)と呼ばれているほどです。
さらに低血糖をもたらすインスリンの過剰分泌は、動脈硬化を招き、高血圧、心筋梗塞・脳卒中の原因にもなり、またアルツハイマー・統合失調症とも関係が 深いことが指摘されていますので大人も要注意です。この他、白砂糖は免疫力を低下させ、風邪や病気に対する抵抗力を低下させることが知られています。
では、代わりに何を食べたら良いか?気力の気は元々『氣』と書き、米が中心でした。また頭の偏は『豆』です。気力を持って頭を働かせるには、米と豆を主 にした食事が大事なことを教えています。豆とかイモとか果実とか、自然の物には自然の甘味が豊富に含まれます。上手に献立に取り入れて欲しいものです。
最後に、極めてケシカラン広告を糾弾したい。「お砂糖は脳のエネルギーです」という広告がそれです。ほとんどの国民は、この砂糖を白砂糖と思うでしょ う。子供に頭が良くなって欲しいと思う親は白砂糖を子供に与えるでしょう。国民をあざむくとんでもない広告です。これでは「おさとゥ」が知れるというも の。正しくは「砂糖」の代わりに「糖質(炭水化物)」もしくは「ブドウ糖」と書くべきなのです。