ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

コラーゲン

その59.血管と骨の老化を防ぐコラーゲン 骨は「骨量」と「骨質」が重要

生理学博士 久間英一郎

今年の冬は、特に寒さが厳しく、雪積も激しく、各地で道路が遮断され、生活や経済に甚大な影響が出ました。国土における道路は、人体における血管と同じで す。いずれも"流れ"が滞った瞬間に大きなトラブルに発展します。ですから、道路も血管も日頃からよりよきお世話が必要という訳です。
 さて、その血管ですが、ヒトは、「血管と共に老化する」といわれて来ました。確かに齢を重ねますと、特に今日のように食の欧米化が進み、美食・飽食が蔓 延すると、腸の腐敗・血液の汚れ等による動脈硬化、そして運動不足・ストレス等がさらに追い打ちをかけて血管を老化させ易くなります。そこで皆様は、健康 診断の時に、「あなたの血管年齢は○○歳です。」という言葉に一喜一憂される所となるのではないでしょうか?
 元東京女子医科大学教授・太田博明先生によると、確かにヒトは、「血管と共に老化する」のは事実ですが、今日、それに加えて、「骨粗鬆症の進行と共に老 化する」こともまたその通りなのだと。そしてこの両者は、互いに相関関係があり、血管の老化が進行すると骨粗鬆症が進行し、逆に、骨粗鬆症が進行すると血 管の老化が進行すると指摘しました。ヒトの身体は、前回の「歯」でも申し上げました通り、各部位は全身と繋がっているのです。
 では、この血管と骨を共に老化させないためにはどうすればよいでしょうか?まずは、この両者に共通に関与しているものを見つけることが先決です。筆者から見ますとそれはコラーゲンなのです。
 血管の構成成分のうち一番重要なのがコラーゲン。血管は、このコラーゲンでできたメッシュを巻きつけたような構造を持っていますので、コラーゲンが老化 しますと血管全体の弾力性が失われるため、動脈硬化の原因となり、いわゆる高血圧・脳梗塞・心筋梗塞等のリスクを高めるのです。ですから日頃からコラーゲ ンを摂取して血管をしなやかにする必要があるのです。
 メディアージュクリニックの斉藤糧三先生による治験でも、コラーゲンは、「血管のアンチエイジングに有効」であることが示唆されました。
 他方、骨はといいますと、以前にも書きましたが、小魚を煮込みますと小魚は骨がもろくなり、頭から丸ごと食べられます。これは、コラーゲンが溶け出した 結果であり、(なぜコラーゲンが溶け出したことがわかるかといえば、魚を煮た煮汁が冬の朝、固まったものが「煮こごり」、即ちコラーゲンだから)これはヒ トが骨からコラーゲンを失うと骨がもろくなることを示しています。
 私達の関節軟骨の約50%、硬い骨の約30%がコラーゲンからできていることを考えると、骨の健康にコラーゲンは不可欠といえるのです。
 前述の太田先生は、ヒトが齢をとってから骨折すると、早死のリスクが最高で約8~10倍ほど高まるとして、骨折への警鐘を鳴らしています。
 また、東京慈恵会医科大学の斉藤充先生の研究によると、「骨密度さえ高ければ骨は強い」という概念は、必ずしも十分ではない。「骨密度」と共に「骨質」 が大切なのです。特に、糖尿病や動脈硬化等の生活習慣病を長く患っている人は、骨を形成しているコラーゲンがダメージを受けて、「骨質」が低下しているの で骨折しやすいと指摘しています。
 私達がこれから健やかに齢を重ね、天寿を全うするためには、流行の言葉でいうとPPK(ピンピンコロリ)を成すには、コラーゲンをしっかり摂って、血管と骨を若々しく保っていただきたいと思います。

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