ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

その他(食)

その38. 四季養生法「冬」 - 冬も人生も"辛抱・辛抱"!! -

生理学博士 久間英一郎

四季養生法もいよいよ最後の「冬」を迎えました。中国伝統医学の古典、「黄帝内経」は次のようにいう。「冬の3カ月は、これを閉蔵といい、水は凍り、地は凍って烈ける。人は陽気をかきみだしてはならず、早く寝て、遅く起き、必ず日光を待ってすべきである」と。

貝原益軒も「養生訓」の中で、「冬は心を静かに安定させ、衣服を多く重ねたり、あるいは火で身体を温め過ぎてはならない。熱い湯に入ってはならず、力仕事をして汗をかき、"陽気"をもらしてはならない」と言っています。

つまりは、冬は平静に、落ち着いて過激なことは慎み、辛抱強く春を待つべしということでしょうか。そういえば冬は、「五臓」では「腎」と関係が深 く、冷え過ぎたり、風邪をひいたりすると腎が弱ります。腎は大切な"元気"や"精"を宿す、身体の最主要臓器とされていることからして、寒い冬を越す忍耐 力、辛抱強さが人間生活の中で一番重要なことだと、神が冬の養生法を通して教えてくれているのかもしれません。

また、冬は腎に加え「黒」とも関係が深く、腎を痛めた時は、黒米、黒豆他、未精白穀物をいただくと良いのです。これらの食品には、天然のビタミン、 ミネラルが多く腎が喜ぶ食品です。その他、風邪をひいた時には、(予防としても)手洗い、うがいを励行し、食を細くしてお腹、腰を温めて安静にすることが 重要です。

冬のお薦めメニューは、まずは、大根、人参、ゴボウ、蓮根の根菜類です。それから、鍋料理の材料。味付けには、味噌や酒粕等の発酵食品、適度な香辛 料、さらには強肝作用を持つニラ、ニンニク、ネギ、玉ネギ等も冬を乗り切るのに好食材です。くれぐれも身体を温め過ぎて大汗をかき、その後冷えて風邪をひ くことだけには、特に要注意。

もう1つは「木槌叩打法」です。

"母さん、お肩を叩きましょう"と歌でも歌われているように、肩こりには肩を叩くことが広く行なわれてきました。肩や全身を叩くことは、血行を良く することですので、これもお好みに合わせてお試しください。人の身体には至るところにツボがあります。そこを天然物である木で刺激するところに意味がある のです。テレビを見ながらでも、また行住坐臥、ひまをみてお楽しみください。

四季養生法の締めにあたり、貝原益軒指摘の病気予防に関する味わい深い言葉を掲げます。

一、 無病の時こそ病を思え
一、 病は治りかけが大切
一、 少しの辛抱が肝腎
一、 病気をいたずらに悩まない
一、 治癒をあせらない
一、 薬(治療)より予防
一、 冬温かなることを極めず、夏涼しきことも極めず

番外、過ぎたるは及ばざるに劣る(山中太木)

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