ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

その他(食)

その35. 四季養生法「春」 - 余寒に気をつけ、楽しくウォーキング -

生理学博士 久間英一郎

「聖人不治己病治未病」(聖人は己に病んだものを治さずして、未だ病まざるを治す)。
これは、中国伝統医学の古典「黄帝内経」が教える養生の極意であります。

今回から4回に渡って養生法、特に四季の養生法(食と運動)について書きたいと思います。

春夏秋冬を問わず、筆者が考える養生の基本とは、

  1. 四季に逆らわず生きること。
  2. 『少』を尊重すること。
  3. 生活に規律とリズムを持つこと。
  4. 養生を健康増進、延命長寿の方法としてだけでなく、人生の生き方そのものと心得ること。

さて、春は寒い冬の眠りから覚め、万物が一斉に動き始め、新しい生命の誕生が見られる季節です。この春の食養生としては、冬の寒さから身を守るため に体内に蓄積した脂肪や老廃物を解毒することが必要となります。この時期の旬の食物、タケノコ、ワラビ、是ゼンマイ、フキノトウ、タラの芽等々、苦味、エ グ味の効いた食物が役に立つのです。「旬」の食物は、生命力が充満しているだけでなく、自然に生まれてくるのですから最も安心な食材なのです。

草木が芽吹くこの時期は、陽気が強くなって肌がやわらぎ、体表が開いてきます。でもこの時期は、まだ余寒厳しきものがありますので、感冒や咳に注意 が必要です。春は肝臓や目や筋肉などと関係が深いとされていますので、目や目の周辺、鼻粘膜の充血やアレルギー、さらにぎっくり腰やだるさ等を引き起こし やすくなります。また、「怒」とも関係が深く、怒りやすくなったり、心と体のバランスを崩しやすくなります。こういう時は、少食(特に脂肪や砂糖)を心掛 け、酸性食品をほどよく摂るなどして体内浄化を心掛けるとよいでしょう。

前述の「黄帝内経」は、「春三ヶ月は、・・・早く起き、広く庭を歩くべし」と教えていますので、春の運動養生として郭林新気功という気功ウォーキン グをご紹介したいと思います。これは、中国の著名な女流画家である郭林さんが自らの癌を治すためにあみ出した歩行功です。このウォーキングのポイントは

  1. "吸う吸う呼く"という二吸一呼の呼吸法をしながら歩いていく。二吸一呼の呼吸法とは左足を一歩踏み出すときに、二回短く鼻で吸い、次の右足を踏み出す時に口で一回呼く呼吸法です。これを繰り返しながら歩いていきます。
  2. 両手は、交互にリラックスして両側の腰骨の所から、臍下の丹田のあたりまで気をかき集めるように振ります。
  3. 歩幅は小さく、深い呼吸で酸素を取り入れます。
  4. 意念(意識)は、呼吸に集中します。

以上、あくまでリラックスして楽しく「動作は楽に、呼吸は深く」をモットーにお試し下さい。

また、天気の良い日は素足で歩くとさらに養生になります。素足は、体に貯まった電磁波等の邪気を足裏からアースすることになり、また大地のエネルギーを様々な刺激と共に直接取り入れることが出来るのです。

シェークスピアは、ウォーキングの効用を「歩け、歩け、小道の上を、そして陽気に牧場の柵を超え、楽しい心で一日を過ごせば、一マイル歩くうちに悲しみは消える」と謳い上げています。

さあ、外へ出よう。Spring has come!

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