その他(食)
その19. 摂取より排泄を、過食より小食を
生理学博士 久間英一郎
読者の皆様は、"食物が毒になる"ということを想像されたことはおありでしょうか。人は、初めから毒とわかっているものを食べたりはしないでしょ う。ところが、食べたものが毒になることがあるのです。日頃、私達が栄養になってくれている(と思い込んでいる)食物も、その量と質、体内環境によっては 充分毒になりうるのです。この毒こそが今日の生活習慣病、慢性病の主原因であることをしっかり受け止める必要があるのです。
肉・卵・牛乳などは、穀類や豆類に比べると非常に腐敗しやすいのです(ちなみに五臓六腑の「府」に「肉」がつくと「腐」になるのです)。この肉・ 卵・牛乳に白砂糖、加工食品、精白米等の日常的な過剰摂取が胃腸に負担をかけ、宿便を増やし、老廃物を増やし、これが生活習慣病、慢性病の主原因となるの です(これには、腸内細菌が深く関与しているのですが、これにつきましては後日項を改めます)。
読者の皆様は、薪でご飯を炊いたことがおありでしょうか。火がよく燃えるようにかまどに薪をたくさん入れると、かえって薪は不完全燃焼してくすぶる ばかりです。逆に薪を減らし、燃えかすを取り出して酸素を取り入れる道を確保してあげると、火はまたたく間に燃え上がり、完全燃焼するのです。
人の腸も同じことです。腸の表面には、高級カーペットのような無数の絨毛が存在し、そこから栄養が吸収されるのですが、その表面積は、何とテニス コート2面分もあるといわれています。この2面分もある絨毛組織が食べ過ぎによる宿便や腐敗産物で覆われてしまったら、どうなるでしょうか。栄養と共に毒 素もまた吸収されることになります。
国際自然医学会会長、森下敬一博士は、「赤血球は、腸の絨毛組織で食物(モネラ)から造られる」と指摘しています。ですから、絨毛組織が腐敗産物で覆われている状況では、血は汚れ、汚れた血液が体中を巡ることになれば生活習慣病、慢性病につながるしかないのです。
日本アレルギー学会評議員で認定医の榎木義祐博士は、「アトピー、喘息等のアレルギーの主たる原因は、消化能力を超える食べ過ぎにある」その証拠に、「食糧不足のある国では飢えはあってもアレルギーはありません」と指摘しています。
今日の栄養学も医学も摂取することばかりに目が向いていて、「排泄」、「少食」、「体内浄化(腸内浄化)」には目が向いていない傾向にあります。で すから、賢い読者の皆様には、"摂取より排泄"を"過食より少食"を心がけ、体内浄化に務め、人生を完全燃焼していただきたいものです。
まさに「過ぎたるは及ばざるに劣る」のです。