伝統食牛乳
その16. 牛乳は本当に「健康によい」のか?(下)
生理学博士 久間英一郎
前回の内容を要約すると、「牛乳は、子牛が成牛になるための完全食品であり、これを人が摂取すると、乳糖分解酵素がないためにカルシウムが吸収でき なかったり、カルシウムが逆に流出されたりする。さらには他の生活習慣病の原因になったりするので飲み過ぎは要注意である」。という内容でした。
その後、読者の皆様から予想以上の反響をいただき、改めて、「牛乳信仰」の根深さを思い知った所です。
さて、読者の皆様の主要な関心は、「では、牛乳に代わるカルシウム源は何なのか?」ということだと思いますが、これについて宮崎大学教授・島田 彰 夫医学博士は、「カルシウムは、牛乳からではなく緑黄色野菜、大豆製品、小魚、海草などから摂る方がいい。」と、その著書の中でいっています。
別表1は、厚生省「第五次改訂日本人の栄養所要量」よりカルシウムを多く含む食品をリストアップしたものです。読者の皆様も別表を参考にしてお好み の献立を研究してみてはいかがでしょうか。私のお勧め献立は、五分づきのご飯に納豆と焼きのり。味噌汁は煮干のダシに豆腐、野菜、きのこの具。惣菜は小松 菜か春菊のゴマ和えと、ひじきか切干大根、または凍り豆腐の煮物と、丸干いわし一匹。納豆か味噌汁に干しさくらえびを少し加え、料理の甘味を黒砂糖でつれ けば万全です。
この献立は何を隠そう『伝統的な日本食』そのものなのです。この『伝統的日本食』の良い点は、良質なカルシウムの補給はもとより、肉、卵、牛乳の欧 米食に比べて脂肪の質が圧倒的に良い(コレステロールを下げる働きのある不飽和脂肪酸が多い)こと。そして、ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含む素晴 らしい食品であることです。今では欧米人の方が日本人より、むしろ、『日本食を評価している』位ですから、我々日本人もしっかりと伝統的日本食に帰ること が何よりも必要です。日本人はもともと穀菜食動物なのですから。