ピーエスの取り組み - 過ぎたるは及ばざるに劣る

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その99."噛み合わせ"は"神合わせ" 体調不良の原因は歯かも

生理学博士 久間英一郎

 昨年の新年号に登場いただきました、村津大地先生の父、村津和正博士が開院した村津歯科クリニックでは「歯科医に全身症状を訴えにくる」患者さんが多かったそうです。
 虫歯や入れ歯ならともかく全身症状とは八百屋で魚を求めようとするが如しと言えなくもない。(なぜかは後ほど)
 次に総入れ歯のおばあさんの元気そうな言葉「何でも噛めますばい」これを聞いた博士は「歯は噛むための道具なのか、ならば代用品でも事足りる。一方で、歯がなくて本当の健康と言えるのか、潜在的疾病が存在しているのでは...」等々様々な疑問が渦巻いていたそうです。
 時おりしも九州大学と福岡県春日市の共同プロジェクト「いきいき老人健康度調査」に参画した博士は、歯と内科的データを統計処理した結果、素晴らしい解答を得ました。
 いきいき老人は、歯の本数が多く噛む力が強い。よく噛める老人は、血圧、血液、尿、心電図などの内科的項目も健康である。よく噛める老人は、唾液の量も質も約2倍優れている。1本1本の歯が血圧の「上下」に関係している。
 少し補足すれば、「32本ある歯の1本1本がそれぞれに脳に情報を送っています。歯が抜けるということは、その情報が脳に届かなくなります」即ち断線。断線すると自律神経を介した脳と組織との連携ができなくなり体の不調につながるのです。
 歯の1本1本は、それぞれ固有の内科的役割を持っていたのです。「抜歯すると元気が無くなる」とよく言われるのはこのためです。
 以上を踏まえて博士は、歯は単に「噛むための道具」をはるかに超えて、歯は体の中枢機関、すなわち「歯は臓器、歯はあって当たり前」、これを歯臓治療の基本理念としました。
 歯臓治療はさらに進化します。歯は残っていても「噛み合わせ」が悪いと、脳、神経、筋肉、ホルモン、血流の一連の連携がストレスによって歪み、これが全身の不調をもたらすのです。
 そこで、歯臓治療によって「噛み合わせ」を改善すると、まず体温が上がります。体温は免疫力と関連し、現代人は低体温の人が多いので特に重要です。
 次に「視力」が改善するそうです。さらには、首、肩、腰のラインの歪みが改善され、足の長さのズレにも改善があるようです。
 さらに有難いのは、集中力と能力を高めるそうです。確かに「噛み合わせ」が悪いと余計な力が入り、緊張=ストレスを高めるのでいい結果は期待できないですね。
 そこで最近では、一流のアスリートが集中力と能力を高めるために歯臓治療を受けて好成績を上げているそうです。「噛み合わせ」が悪いと、トレーニングすればするほど身体が歪み、ストレスを増やし故障の原因になるからです。
 ここまでくると、冒頭の歯科医に全身症状を訴えにくる意味がおわかりいただけると思います。
 このように、今日、医科と歯科はお互いに連携しながら患者の期待に応えていくことが求められています。いい「噛み合わせ」とは、陰と陽の絶妙な調和であり、これが脳に通じ、身体全体とつながっている(和んでいく)もののように思われます。
 国際自然医学会の森下敬一博士は、「消化とは造血」と言っています。食という物質から血球という生命を生み出す神秘的(カミっている)舞台が歯がリードする消化とすれば、「"噛み合わせ"は"神合わせ"」と言えないでしょうか。
 様々な治療を施しても不調が続く場合は、もしかしてその原因は"歯かも?"とお考えいただくことも重要だと思います。
〈参考文献〉「不調の原因は歯にあった」(村津大地著、ビジネス社刊)

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