その他(食)
その100.遺伝子組み換え小麦は危ない! 米に感謝!
生理学博士 久間英一郎
この小欄も回を重ねて100回(足掛け20年)を迎えます。ただただ感謝あるのみです。
さて、今回は小麦の危険性について書きます。現在米国人は毎日何らかの形で小麦をたくさん食べていますが、これが肥満・糖尿病・高血圧・心臓病他様々な病気とつながっているといいます。
この原因をアメリカを代表する循環器疾病予防の権威ウィリアム・デイビス博士は、著書「WHEAT BELLY」(小麦腹)の中でこう言っています。「全粒粉の小麦が諸悪の根源である」
全粒粉は米に例えると玄米になるので読者の中には「なぜ?」と思われる方も多いのではと思います。事実、米国人達も健康的な食事をしていると思い込みながら実は不健康な結果になっていたというのです。それだけコトは複雑なのかもしれません。
では、一体小麦に何が起こったのか?その答えは「品種改良」「遺伝子組み換え」なのです。
小麦は何世紀のも間にわずかしか進化しなかったのに対し、この50年の間に食糧危機解決の名のもとに劇的に進化しました。交配に次ぐ交配、さらに遺伝子組み換えによって、北米の小麦収穫量は1世紀前の10倍、中国でも40年の間に8倍等々、世界各国で生産量を飛躍的に伸ばしました。
これには当然のこととして、自然環境に耐えるため農薬や化学肥料がセットとして大量に使用されたのです。そして今、大なり小なりこの技術で世界中の小麦の99%以上が生産されているのです。
博士は言う。「生産量を増やすことに集中するあまり、植物遺伝学者たちは交配による品種は人間が食べても安心なはずだという自信にあふれ・・・人体への安全性の問題を考慮せずに食糧供給に投入されました」
では、「品種改良」「遺伝子組み換え」小麦は原始的な小麦と何が違うのか?95%までは遺伝子的に共通なのだそうですが、残りの5%がまるで違うのだそうです。特に小麦たんぱく質のグルテンは大幅にその構造が変化したそうです。
変異したグルテンが激しいアレルギーを引き起こし、腸の粘膜上皮に炎症を起こしたのがセリアック病です。全米で100人に1人という爆発ぶりです。
セリアック病が発症すると、腸管のバリアー機能が損なわれ、関節リウマチなどの自己免疫疾患を引き起こしたり、脳障害、神経障害、統合失調症、自閉症、疱疹状皮膚炎等々との関係も指摘されています。
もう一つ博士が指摘するのが、遺伝子組み換え小麦は高血糖をもたらすことです。高血糖は高インシュリン分泌につながり、インシュリンが働きだせば今度は低血糖、さらに小麦で高血糖。これがくり返されると、本物の糖尿病、肥満、高血圧、心臓病、脳疾患と続き、最近話題の「糖化」につながり、終末糖化産物AGEが健康上の問題に加えて、シミ、シワなどの美容上のトラブルにもつながるのです。 博士は患者に対し「小麦ときっぱり決別せよ」とアドバイスして数々の実績を上げているそうです。
現在、日本では小麦の全消費量の85%を輸入に頼り、その6割を米国が占めているそうです。ということは多かれ少なかれ遺伝子組み換え小麦を食べている訳ですから、対岸の火事とは言えません。私達はこの件からも腸の大切さ、伝統食の大切さが学習できると思います。
大阪医科大学で、「コラーゲンとガン免疫」を研究した榎木義祐医学博士の金言、「慣れがあるのが免疫、慣れがないのがアレルギー」。すなわち「慣れのある米は免疫、慣れのない遺伝子組み換え小麦はアレルギー」見事ですね。
そもそも、アレルギー表示を義務付けて注意を喚起しなければならないような小麦は民族の主食とは言えません。 参考文献 「小麦は食べるな!」 ウィリアム・デイビス著 白澤卓二監訳 日本文芸社