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その92.100歳への条件 「人とのつながり」「前向きな生き方」「かわい気を持て」

生理学博士 久間英一郎

 先般、NHKでもご活躍の予防医学の研究家、石川善樹博士のお話を伺う機会がありましたが、読者の皆様に非常に役立つものばかりでしたので、今回はこれをご紹介します。
 博士はこう言います。「これまでの予防医学は、"病気で早死にしないための健康づくり"がテーマで、栄養・運動・休養がその研究対象とされてきました。
 ところが、超高齢化社会を迎えた今日では、上記に加えて"90から100歳まで元気に生き抜く"ことがこれからのテーマとなり、そのために次の三つのキーワードが極めて重要であると指摘します。

 その一つ目は、「人と人のつながり」です。人と人とのつながりを示す例として博士は、「今、仮にあなたが入院したとすると、果たして二回以上見舞いに来てくれる人が何人いますか?」また逆に、「見舞いに行ってあげたい人が何人いますか?」と質問します。「一回は義理で来てくれたり行ったりするかと思いますが、二回となると...」意外と少ないかも知れません。人と人のつながりによって受ける様々な刺激が健康・長寿に極めて重要な役割を果たすようなのです。
 それも三つ以上の組織やグループに属していることが望ましいと言います。三つ以上の異なった人間関係による異なった刺激が総合的に健康・長寿に役立つのだと指摘します。
 女性は、男性に比べて「つながり」をつくるのが上手い。これが男性より長生きできる理由の一つにもなっているようです。

 二つ目は、「前向きな気持ちで生きる」こと。例として博士は次の質問をします。「10年後の皆様は、今よりずっと輝いていると思いますか?」と。つまり今日より明日、一年後、五年後、十年後の自分は今よりずっと輝いていると自信を持って言えるような生き方をすることが重要だと言うのです。
 強い思いを持ち続けることが素晴しい現実を引き寄せるのでしょうか。そのためには、輝いて生きている年長者を見たり、接したりすることが重要だと言います。
 若い時に苦労を乗り越えてきた経験を持つ人達は、前向きな生き方を身につけているので、健康・長寿の条件を多く満たしていると言えると言います。

 三つ目は、「かわい気のある人になれ」と言う。かわい気のある人は、多くの人から声がかかりやすくなるでしょうし、様々なお誘いや困った時のサポート他、様々な人間関係が存続することになるでしょう。
 そのためには、「感謝を忘れない人になれ」と言う。周囲の人や環境に感謝を忘れない人は、誰にでも愛され、逆に感謝される存在になるでしょう。加えて、おしゃれを忘れないことも重要な要素かと思います。

 その他、上記三つのキーワードに関連して、少しつけ加えます。
 超高齢化社会に備えて、「100歳まで生きる」というプランを立てておくことも重要なことと言います。
 また、よく「笑う」ことが極めて重要だそうです。心から笑うと、寿命が7年延びるそうです。「つくり笑い」でも2年は延びるのだそうです。男性はなかなか笑わない人が多いので、この点からも女性が長生きするのかも知れません。
 ですから、男性の健康・長寿の条件は、現役時代の考え方を一旦リセットして、周囲への感謝を忘れず、少しおしゃれをして積極的に地域の諸活動に参加して笑顔をふりまくことが大切なようです。
 最後に、博士は理想的な一日の過ごし方について次のように披露してくれました。

朝は希望と共に目覚め 日中は夢中に生きる 夜は感謝と共に就寝す

大いにご参考にしてください。

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